貸店舗Q&A(4)「契約を考えている物件の保証金が賃料の10か月分と言われています。この条件は相場から考えてどうなのでしょうか?」
さて、貸店舗Q&Aも5回目になりました。今回は保証金の相場についてですね。
質問の内容は、「契約を考えている物件の保証金が賃料の10か月分と言われています。この条件は相場から考えてどうなのでしょうか?」という事ですが、結論から言えば賃料の10か月分という保証金は安くはないけど、あり得ない金額でもなく、相場の範囲内です。
2階以上の店舗と路面の物件では多少相場は変わりますし、立地によっても違いますので一概には言えませんが、今回は大阪市内の中心部の相場を目安に考えてみたいと思います。
ざっくり言うと、現在路面の貸店舗の保証金は賃料の6か月分~12か月分というのがひとつの目安だと思います。
様々な要因に左右はされますが、例えば4か月分とかだと比較的割安な条件で、14ヵ月以上だとこのあたりでは心斎橋筋商店街の中や御堂筋沿い等のいわゆる一等地条件になってきます。
ただ、最近は家賃保証会社を利用するケースも多いので、その場合は預かり金無しで礼金だけとか、保証金を預かるにしても額を減らすとか、物件や家主様によっては柔軟に対応してくれる事もあり、イニシャルコストを抑える工夫をやりやすくはなってきている印象があります。昔は賃料50万円で保証金1500万円とかも珍しくなかったという様な話も聞きますし、今は居抜き店舗の流通も盛んに行われていますので、そういう意味では昔に比べると優しい部分もあるのかもしれません。
もちろん探し方や交渉の仕方によっては4か月を切る条件の物件を見つける事も出来るかもしれませんし、10か月かかってもその分賃料が割安な物件がみつかったりする可能性もあるので、視野を広く持って、トータルで良いバランスの物件を契約出来ると良いですね。
また、契約時にはあまり気にされない方が多いですが、解約引き(償却)の金額(割合)もチェックしておいた方が無難です。
色んなケースがありまして、一般的な償却条件としては契約年数によっての変動があり、5割引き~2割引き位が多い様です。
傾向としては保証金の額が高額になれば解約引きの額(割合)は低く返金は多め、保証金自体が低額であれば解約引きの額(割合)は高く返金は少なめという所に落ち着くイメージです。
また、可能性はあまり高くありませんが、もうひとつ頭に入れておくべきリスクがあります。
資金的に余裕のある企業や個人の方だと、どうせ返ってくるお金だからといって預かり金が高くても気にされない方もおられますが、実は預かり金が返金されないケースというのもありまして、将来の解約時に家主様が経済的に困窮していて預かったお金が返せないという場合と、ビルやマンション自体が競売にかかってしまって誰かが競落した場合新しい所有者には保証金返還義務がありませんので、預けたお金は丸々損してしまう事になります。
まぁ言い出したらキリがないですが、大切なのは取引条件全体や周辺の相場、自分の置かれている状況を見ながら、現実的にはどのあたりで折り合いを付けるのが良いか?考える事でしょうか。
そしてそのあたりの判断をサポートするために、色んな判断材料を提供する事が不動産仲介会社の役割だと思いますので、プロの意見が聞きたいとかこういう場合はどうするのがベストなのか?とかあれば、気軽に相談して頂ければと思います。
関連した記事を読む
- 2024/11/22
- 2024/11/20
- 2024/11/16
- 2024/11/14